まず、これからFXをはじめられる方にとって、やはり「FXとは何か?」ということから、基礎から学んでほしいと思います。
例えば、あなたが何を始めるにしても同じことだと思うんですけど、何も知識を持たずに何か新しいことを始めるということは、そうそうないと思うんですね。
特にFX取引というのは、『ハイリスク・ハイリターンの金融商品』ということもありますので、必ず大きな損得がつきます。
ですから、今後あなたがFXで勝ち続けるトレーダーになるためには、基礎をしっかり学んでいただきたいと思います。
私も、このFXに携わった経験上ですが、やはり勝ち続けているトレーダーさん達は、知識が豊富な人が多いのというのが事実です。
ただ、そう言うと難しく考える人がいるのですが、ハードルは決して高くはないので、あなたも勝ち続けるトレーダーになるために、一緒に頑張って続けていきましょう(^_^)
FX(外国為替証拠金取引)とは?
まずFXとは、自分が振り込んだお金(自己資金)を証拠金もしくは保証金として担保にして、その証拠金以上の額の外貨を売買できるという取引です。
もともと欧米からやってきたシステムですが、日本で解禁されたのは1998年の外為法の改正によって、日本でも取引が可能になりました。
これが俗に言われる『金融ビッグバン』ですね。
今はFXと呼ばれていますが、始まった当初は「マージンFX」という名前で呼ばれていた時代がありました。
まさにその「マージン」という言葉は、「証拠金」という意味があったわけですね。
FXは、前述の通り、証拠金を使ってハイリスク・ハイリターンの取引を行う金融商品ですが、それにも関わらず、実は日本では人気No1の金融商品にまで成長しました。
あなたも聞いたことがあるかもしれませんが、
「ミセスワタナベ」ですとか「着物トレーダー」
なんて言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これは別に、ワタナベさんという個人名を言っているわけではなくて、日本のFX投資家(女性)たちを総称して、海外のマスコミや金融市場の関係者がそう呼んでいるんですね。
というのも、外資系銀行の関係者の話では、最近では東京時間(8:00~15:00)の取引高の約8割が日本の投資家の分なのだそうです。
それだけ取引量が多く、日本の主婦層なんかが為替相場に影響を与えていることから、あなどれない存在としてそんなふうに呼ばれているんですね。
それだけ参加者が多いという理由なんですが、やっぱりFXが少額の資金から始められるという、なじみやすい金融商品であることが大きいでしょうね。
ですが、それだけ親しみやすい始めやすい金融商品ではあるのですが、資金管理やリスク管理をきちんとしていかないと大きな損害を受けるだけになってしまいますので、これから大切な基礎知識を学んでいきましょう。
FXは知識に比例して利益が増える
FXと聞くと、よく「億越えトレーダー」とか「自己破産者」なんていう話を聞くことから、一般的にはハイリスク・ハイリターンという印象があります。
しかしながらこれは、あなたが保有するポジション(建玉)の管理と、資金管理で、十分にリスクを避けることができるんですね。
自己破産したり、資金を失ってしまう方というのは、それをキチンとやっていないだけなんです。
キチンとやったら、FXは全然怖いものではないのです。勝ち続けるトレーダーになることができます。
だから、「FXは知識に比例して利益が増える」と言える理由なのです。
FX取引はけっこう柔軟な仕組みがある取引ですので、あなたの身の丈に合わせた取引に調整することができます。
証拠金取引ですので、原則的にFX会社に預けている金額以上には損失は出ないのです。
ただ単に、「上がるか・下がるか」の運まかせにしているから、負けてしまうのです。
FXで為替レート変動時の売買差益による利益
FXには二つの利益構造があるのですが、
まず一つは
『為替レートの変動した場合の売買差益による利益』ですね。
これは、FXの為替レートの値動きがあった時の売買差益です。
二つ目は、
『スワップポイントによる利益』があります。
これは、金利の低い通貨を売って・金利の高い通貨を買った場合に、その二つの通貨の金利差益を毎日もらえてしまうというものです。
さて、例えば、あなたがハワイ(アメリカ)に旅行するとしましょう。
そのために銀行に行って、
1ドルが100円の時に1000ドル分を両替すると
100円×1000=10万円を両替したことになります。
そして、いざハワイ旅行に行きました。
でも旅行中の買い物にはクレジットカードを使い、現金は1ドルも使わなかったとしましょう。
そして帰国してからまた銀行で両替します。
その時に、1ドルが105円になっていたとしましょう。
すると、
105円×1000=10万5千円となるのです。(例のため手数料を含めておりません)
で、さきほどの100円から105円に上がった5円分の差額、5千円が利益になったわけです。
もちろん、これは例としてたまたまそうなったわけですが、FX取引では、積極的に外貨の値動きを狙って売買差益を取っていきます。
このように
『二国間の通貨の為替差益を利益に変えるのがFX』というわけです。
例えば、今後強くなるであろう通貨を買って、反対の通貨を売るわけです。
その通貨の組み合わせも、株式銘柄のように膨大な数があるわけではなく、いくつかの主要通貨のペアを選ぶだけですので、選定が行いやすいのもFXの利点です。
FXではタイミング良く外貨を交換すること
さて、もう一つ売買差益の例をあげましょう。
先ほどはドルが上がった場合の例でしたが、今度は「ドルが下がる」と予想できる場合です。
「円高・ドル安」が進みそうなら、日本円を買い・米ドルを売ります。「ドル売り円買い」です。
例えば、
1ドル130円のときに、1,000ドル(13万円分)を売ったとします。
そして、
1ドル120円になった時に、1,000ドルを買い戻すと12万円で済むので、1万円が利益となります。
※安く買って・高く売る
※高い時に売って・安くなったら買い戻す
という、上昇時も下落時も利益にすることができます。とにかく通貨の値に差が出来れば良いんですね。
ここが株とはちょっと違う所です。
株の場合は、「安く買って高く売る」というのが基本で、その逆の場合(売りから入る場合)は、信用取引銘柄に限られてしまいますし、手数料もかかります。
FXにおける買いポジションと売りポジションとは
このポジションという考え方がFXは特色がありますが、それをわかりやすく解説します。
FXにおける買いポジションとは
まずは、ドル買いポジションです。
これは、分かりやすいように言いますと、
「日本円を売って米ドルを買う」という取引になります。
ドル安円高の時に米ドルを買って、そして、ドル高円安になったらドルを売って、円を買い戻すという取引です。
ということで、FXの『買いポジション』というのは、「いかに安く買って高く売れるか」になります。
これが出来れば、あなたの利益になるわけです。
ですので、これは事前に「将来ドルが強くなるぞ・円が弱くなるぞ」と予想した場合に取るべきポジションになります。
ここで見方として注意しないといけないことですが、通貨ペアはそれぞれ呼び方(並び順)が決まっていますので、注意が必要です。
例えば、米ドルと日本円の通貨ペアの場合は、
USD/JPY
と表示されます。
JPY/USD とは表示されません。
これは先(左)に表示されている方が基軸通貨になりますので、先(左)に表示されている方から見てどういう取引になるか?で「買いポジション・売りポジション」が決まります。
ちなみに、後(右)のほうは決済通貨と呼びます。
ですので、例えば
米ドルが上がると予想した場合は、米ドルを買うわけですが、
USD/JPYの順からすると、米ドルが基軸になるので、
「USD/JPYの買いポジション」と呼んでいいわけです。
ですがいっぽう、日本円が上がると予想した場合は、「JPYの買いポジション」とは言いません。
あくまで米ドルを基準として見て、米ドルを売って日本円を買うことになるので、呼び方としては
「USD/JPYの売りポジション」と呼ぶわけです。
株のように「これを買う」とは単純に言えない(注文できない)のです。
これは間違うと逆の注文を出してしまうことになるので、要注意です。慣れないといけません。
FXにおける売りポジションとは
売りポジションのほうは、先ほどの買いポジションの逆になります。
売りポジションからエントリーする取引になります。
例えば、現在がドル高円安だった場合、「将来ドルが安くなるぞ・円が高くなるぞ」と判断した場合は、
「USD/JPYの売りポジション」でエントリーするわけです。
そして、そのあと実際に米ドルが安くなって円が高くなった時に、決済(円を売ってドルを買い戻す)することによって利益が得られます。「高く売って安く買い戻す」ということです。
まとめますと、
「エントリーポジションを基軸通貨から見て、買いから入ったのか・売りから入ったのか」
によってポジションの呼び方が決まるということです。
FXのスワップポイントとは
FX取引の中では、よく「スワップ」って聞くんですけど、本当の正式名称は『スワップポイント』と言うんですけれども、例えば外貨預金における金利のようなものになります。
しかし大事なことですが、FX取引においてのスワップポイントと外貨預金における預金金利とは、大きく違う特徴が二つありますので注意です。
普通は外貨預金などの場合は、あなたが金利を受け取るだけですよね。
銀行口座の預金でも同じことです。
しかしながら、FX取引においては、金利を受け取るだけでなく、ポジションによってはスワップポイント(金利)を支払わなければいけない時もあるということです。
ここで重要なのは、投資家のポジションになります。
「どこかの国の通貨を売って・どこかの国の通貨を買う」というポジションを持っているわけですが、各国においては、必ず金利の違いがあります。
つまり、スワップ金利とは
「売っている通貨に対してかかっている金利を支払って、さらに、買っている通貨に対してかかっている金利を受け取ることができる」
というものなのです。
例えば、ドル買い円売りのポジションを持っているとしましょう。
この場合は、
※ドルを買っているので、ドルに対する金利をもらうことができます
※円を売っているので、円に対する金利を支払わなければいけません
この二つの差が、スワップポイントなのです。
つまり、スワップポイントがたくさん欲しいと思ったら、
「金利の高い国の通貨を買って、金利の安い国の通貨を売るという通貨ペア」でポジションを持つと良いわけです。
ただし、このスワップ金利は、各証券会社(FX取り扱い業者)によって、金額が違っているので注意が必要なんです。
でもなんで、各FX会社によってスワップに違いがあるのでしょうか?
もちろん、同じ国の政策金利は同じなんです。にもかかわらず、なぜ各社に違いがあるのか?
実はここには、各FX会社の戦略によって大きく違いが出るのです。
例えば、トルコリラとか南アフリカランドとかの、高金利通貨の取引を勧めているFX会社がありますが、これは客寄せのためにそういう戦略を組んでいますので、他のFX会社よりも高いスワップ金利を設定するようにしています。
また、同じFX会社でも、その日その日によってもスワップは変動します。
ではなぜ、それらのような違い・変動が生まれるか?を解説します。
FX会社は、インターバンク(国際銀行)と毎日取引してスワップを決めているのですが、その時に、そのFX会社がどういうポジションをどれだけ持っているかによって変わります。
例えば、ドルの金利が高く・円の金利が安かったとしましょう。
その場合に、あるFX会社の保有している総ポジションが、
USD/JPYの売りよりも、買いのほうが多かった場合は、そのFX会社はスワップを得ることができますよね。
その得たスワップを、ユーザーさんに分配するという仕組みなのです。
ですので逆に、例えばあるFX会社の総保有ポジションが
USD/JPYの買いよりも売りのほうが多かった場合は、逆にスワップを支払わないといけませんので、とてもユーザーさんにプラスのスワップを分配することはできません。
また、FX会社が手数料として引いている場合もあります。
ですので、ユーザーが自分としては計算上スワップがプラスになるはずなのに、利用しているFX会社の総ポジションが逆の場合は、スワップがもらえなかったり逆に支払わなければいけないこともあるのです。
とはいっても、FX会社も客商売です。
毎日コロコロ変わったのではユーザーが計算ができませんので、各国の政策金利をある程度反映した基本値は大きく変えない傾向があります。
また、先ほどお話ししたように、客寄せのために、FX会社が「スワップで多少損しても他の手数料でプラスになるなら良い」と考えて集客の材料として高スワップを宣伝する場合もあります。
ですので、特に中長期でポジションを持つ場合は、スワップも考えてポジションを取らないといけませんし、FX会社も選ばないといけませんし、保有してからも日々のスワップ変動に気をつけないといけないわけです。
高金利通貨は持っているだけでお得
日本の金利は今とても安いですよね。
銀行にお金を預けても、ほとんど利息はもらえません。
0.01%なんていうくらいです。
例えば日本の銀行に100万円預けたとしても、1年間で100円しか利息がもらえません。
いっぽう、例えば途上国で、トルコリラですとか南アフリカランドなどは、かなり高金利です。
日本のような低金利通貨を売って、それらの高金利通貨を買えば、毎日毎日スワップがもらえてお得になります。
ただし!
そんなに、おいしい話ばかりなどはありません。
ある知り合いが、スワップ狙いで南アフリカランドを数百万円分買ったのですが、そのあとに急落してしまったんですね。
たしかに、スワップで毎日チョロチョロ小銭をもらえるわけですが、為替差益でドカン!と大きく損をすることになります。
特に、新興国の通貨は安定性がありませんし、取引量も多くないので流動性が悪く換金性が低くなるので、リスクが大きくなります。
でも、そのリスクを理解した上で、どうしてもスワップ狙いをしたいのであれば、普段は様子見して、高金利通貨が急落した時に下値をチョイチョイ拾っていけば、いずれ値を戻した時に為替差益も得られるしスワップも得られて一石二鳥になります。
そんな狙い方もあるわけです。
FXの「レバレッジとは?」の解説
まずは、FXのメリットである「レバレッジとは?」ですね。
FXは、『外国為替証拠金取引』という名前にもある通り、証拠金を使っての取引になります。
現金での直接取引ではないため、その証拠金にレバレッジをかけることができるわけですね。
例えば、あなたの元手の資金が30万円あったとします。
そこにレバレッジを10倍かけるのであれば、30万円×10倍で、300万円分の取引ができるということになります。
当然ですが、通貨の値動きによって変動があった場合は、その為替差益にも10倍の損得がかかってきます。
ですので、10倍儲かることもあれば、10倍損することもあります。
さらに、通貨ペアの金利差が『スワップ』というお話を別ページでいたしましたが、そのスワップポイントも10倍かかってきます。
そんなふうに、FXではレバレッジをたくさん掛けて、ハイリスク・ハイリターンの投資も可能になります。
しかしながら、日本国内のFX会社(証券会社)ですが、これらは「最大レバレッジの上限が25倍まで」と法律で決まっています。
であれば、さっきのケースであれば、30万円の元手でレバレッジ25倍の取引をした場合は、750万円までの取引が可能となるわけです。
さらに、法人口座の場合はまだ規制が緩くて、各証券会社の判断でレバレッジが決められています。
FX会社によって様々ですが、100倍から400倍のところまであります。
レバレッジの具体的な仕組み
レバレッジという意味ですが、これは日本語に訳すと『テコ』の意味になります。
先ほどお話ししたように、レバレッジというのは、証拠金の額に対しての実際の外貨の取引量との比率を表します。
例えば、1ドルが100円の時に、1万ドル分の売買をしたいと思った場合は、普通なら100円×10000ですので100万円が必要になりますよね。
でも、レバレッジを目いっぱい使って25倍使ったとすると、取引額の4%の証拠金があればトレードが可能ですので、4万円あれば良いですね。
4%というのは、100÷25=4という計算です。
本来は資本金が100万円も必要なところを、4万円あれば取引が出来てしまうんですね。
ただ、本当の現実のトレードとなると、実際にはパカパカと常に値動きがあるわけで、評価損が証拠金から相殺される仕組みになっているので、4万円だけでは足りなくてトレードが継続できないんです。
あくまで4万円というのは、最低限の担保ということなのです。
例えばこのケースで、10万円を入金して1万ドルの取引をしたとします。
この場合は、レバレッジが10倍となりますよね。
私が考えるところでは、レバレッジの適正な使い方としては、マックスで10倍。通常は5倍くらいで使っていくのが良いと思っています。
レバレッジの利益と損益は比例する
お話ししたようにレバレッジは、少額の証拠金でFXができるという大きなメリットになるわけなんですが、当然ながら損益もレバレッジに比例しますので、そう都合良く利益だけ倍々にはならないわけです。
利益だけ倍々になって、損益にはレバレッジがかからないなんていう都合の良い話ではありませんので(^_^;)、注意してレバレッジを決めてFXを行わないといけません。
レバレッジは自分自身で決めるもの
日本の法律では、FXはレバレッジが25倍までと決まっているわけですが、必ず25倍でしなければいけないわけではありません。
それ以下であれば何も問題はないわけですが、レバレッジが高くなればなるほどリスクも高くなるわけですので、初心者の方は、最初はレバレッジ無しだったり、2倍から5倍くらいで始められるのが良いと思います。
本当にですね、このFXというのはレバレッジの管理を怠ると、本当に痛い目にあいますので、ここだけは本当に注意してほしいと思います。
ちなみに、表にまとめましたように、1ドル=100円のときにレバレッジ10倍で1万ドル、レバレッジ20倍で2万ドルを購入した場合には、後の為替レートによる損益は表の通りです。
FXはレバレッジを変えてハイリスク・ハイリターンにも、ローリスク・ローリターンにもできるので、自分自身で計画的に決めるようにしましょう。
FXの「スプレッドとは?」買値・売値(BID,ASK)の解説
FXの「スプレッド」というのは、『買い値と売り値にある差』のことなのですが、あなたが使っている証券会社(FX会社)に取られる手数料になる場合がほとんどです。
手数料についてはまた後で解説いたしますが、まずスプレッドを理解するためには、買い値と売り値の表示の意味を理解していないといけません。
FX売買の利益に直接関わることですので、間違いないように良く理解しておきましょう。
FXの「買値・売値(BID,ASK)」という表示の意味
よくテレビでNHKのニュースなんか見てますと、
例えば、
「現在の為替レートは、1ドル100円15銭から20銭で取引されています」
なんてアナウンスされることがありますが、実はその言い方は間違いなんです。
ニュースの情報もとでは、どこかからデータを引用してきていると思いますが、
正しくは「1ドル100円15銭売りの、100円20銭買い」という意味になります。
「○円○銭から・・」という言い方は間違いになります。
例えば、下図左のほうで言うと、
あなたが売れる場合の価格をBid(ビッド)、買える場合の価格をAsk(アスク)と呼び、取引画面などでも通貨ペアごとに、BidとAskが表示されています。
『投資家(つまりあなた)から見ての売り買い』の表示になっています。
図の右のほうは、「SELL,BUY」という表示となっていますね。これも意味は同じで、SELLは売り・BUYは買いになります。
これは逆に言いますと、
「(BID)FX会社が110.900で買いますから、あなたがその値段で売れますよ」
「(ASK)FX会社が110.903で売りますから、あなたがその値段で買えますよ」
という意味なんですね。
(余談ですが、アスクのことをオファーと言う人もいます)
だから、ニュースで言われるような「110.900~110.903の間で買えますよ」なんていう意味ではないわけです。
買うんだったら、110.903円以上でしか買えないのです。
ただ、現実のトレードでは、値は細かくカチャカチャ動いていますので、あなたが提示した金額で即買えるとは限りません。あくまで参考値になります。
ちなみに、銀行で通貨を替える場合は、FX市場のようなカチャカチャ動いている値段ではなく、銀行間で午前10:00に決められた値段でその日は統一することになっています。
ですので、一定の決まった価格で通貨を替えたい場合は、銀行に行って替えるといいわけです。
FXのスプレッドとは一種の手数料
これからあなたが経験されると思いますが、証券会社・FX会社で取引する場合ですが、先ほど図で見ていただいたように必ず取引画面には二つの価格が表示されています。
これをツーウェイプライス(2wayprice)と言いますが、それが先ほどのBID(売り)とASK(買い)です。
おさらいになりますが、
「BIDの値段であなたが売ることができる」
「ASKの値段であなたが買うことができる」
のです。
もっと細かく言いますと、BIDの値段であなたが売る時は、同時にそれはFX会社がその値段で買うということになります。
あなたとFX会社の間には、そういう関係があります。
さて、あなたがFXで売買した時には、実は、いやおうなしにFX会社は儲かることになります。
なぜかというと、
先ほどお話ししたBIDとASKの差がありますよね。
あなたは、安いほうの値で売って、高いほうの値で買わないといけなかったですね。
つまりその差「スプレッド」が、FX会社が得る手数料になるのです。
FXではスプレッドの影響を理解しよう
FXではスプレッドの値は、各証券会社によって違いますし、通貨ペアによっても違います。
スプレッドとはBIDとASKの差でしたが、その差が広ければ広いほど、あなたは手数料をたくさん支払わなければいけないということになります。
あなたがFXをするためには、当然どこかの証券会社に口座を作って入金して、トレードしなければいけないわけですが、このスプレッド(手数料)を考えた上でFX会社を選ぶ必要があるのです。
結局、スプレッドが広い(大きい)FX会社では、たくさんトレードすればするほど損しちゃいます。手数料なんて少ない方が良いですもんね♪
ということで、FX会社を選ぶ時は、スプレッドをきちんとチェックしないといけません。もちろん、別ページでお話ししたスワップもチェックです。
FXではスプレッドの変化に注意
お話ししたように、スプレッド手数料は、FX会社によっても通貨ペアによっても違うというお話をいたしましたが、しかも、それも常に変動していて、常時一定ではないんですね。「固定スプレッド」をうたっているところでも変動します。
特に、重要な経済指標発表時などは、スプレッドが極端に広がります。
もしくは、為替レートが表示されているのに取引ができないというようなことも、ごくまれに起こることがあります。
例としては、日銀の介入時とか911テロのような世界を揺るがすような大事件のある時は、すごいですね。
まあ、さすがに911テロのようなことは頻繁には起こらないわけですが、例えば、アメリカの雇用統計なんかが大きく予想から外れたりした場合などは、スプレッドは大きく開く可能性が高いです。
なぜそうなるか、ということなんですが、為替レートの変動が極端に大きくなるような状況というのは、FX会社にとっては損が大きくなる可能性が高くなるんですね。
そこで、その防衛のために一時的にスプレッドを広くしないといけないという事情があるわけなんです。
ということでまとめますと、基本は、各FX会社のスプレッドやスワップを良く見て選ぶことと、重大な指標発表時はスプレッドの広がりに注意(できれば様子見)していただきたいということになります。
実際のFX売買での損益計算の具体例
今までの解説で、FXにおける為替差益の仕組みや手数料についてお話ししてきましたが、それらを踏まえて、実際のFX売買での損益計算の具体例を見ていきましょう。
例えばあなたが、以下のような売買をしたとしましょう。
A:まず1ドル101円00銭の時に、1万ドル分のドル買い・円売りのポジションを持ち、5日後に101円90銭で決済したとします。
その三日後にまたトレードしたとして
B:1ドル101円20銭の時に、また、1万ドル分のドル買い・円売りのポジションを持ち、3日後に102円50銭で決済したとします。
この2回の取引によって、売買差益や手数料はどうなったか?
最終的な損益はどうなったか?
を具体的に計算してみましょう。
Aのトレードから見ていきます。
まず、1ドルが101円の時にドルを買って、101円90銭になった時に売ることができたわけですので、為替レートの変動差益としては、90銭の儲けになります。
90銭は0.9円ですが、それを1万通貨売買しましたので、
0.9円×10,000=9,000円の儲けとなります。
そして、ここにスプレッドとスワップも加わります。
Aの期間のドル買い円売りスワップは、1万通貨当り1日10円でした。ポジションを5日間持ったわけですので、スワップの合計は
10円×5日=50円となります。
そして、Aの期間のドル買い円売りスプレッドが2銭でした。10,000ドル分の売買を一回したわけですので、
2銭(0.02円)×10,000=200円となります。
とういうことでまとめますと、
・為替差益による売買損益が9,000円
・スワップポイントの損益が50円
・スプレッド手数料が200円
ですので
9,000円+50円-200円=8,850円
という利益が、Aの取引で得られたことになるわけです。
続きまして、今度はBのトレードを見てみましょう。
1ドルが101円20銭の時にドルを買って、102円50銭になった時に売ることができたわけですので、為替レートの変動差益としては、1円30銭の儲けになります。
1円30銭は1.3円ですが、それを1万通貨売買しましたので、
1.3円×10,000=13,000円の儲けとなります。
そして、ここにスプレッドとスワップも加わります。
Bの期間のドル買い円売りスワップは、1万通貨当り1日10円でした。ポジションを3日間持ったわけですので、スワップの合計は
10円×3日=30円となります。
そして、Bの期間のドル買い円売りスプレッドが2銭でした。10,000ドル分の売買を一回したわけですので、
2銭(0.02円)×10,000=200円となります。
とういうことでまとめますと、
・為替差益による売買損益が13,000円
・スワップポイントの損益が30円
・スプレッド手数料が200円
ですので
13,000円+30円-200円=12,830円
という利益が、Bの取引で得られたことになるわけです。
2回のFXトレードの合計の損益は
8,850円+12,830円=21,680円が儲かったということになります。
計算としては、そんなに難しくないので大丈夫ですよね?
もちろん、今までの解説で、スプレッドやスワップとは何かというのをキチンとご理解いただいていれば、サラッと計算できると思います。
あとは、スワップがプラスで付くのかマイナスで取られる通貨ペアなのか・・・そして、その通貨ペアのスプレッドがいくらなのかによって、トレードの損益がだいぶ違ってきます。
これは各FX会社によって、スプレッドやスワップが違うわけですので、FX会社選びもやっぱり重要になってきます。
FXでの通貨ペアの解説
各国の通貨の特徴、そして通貨ぺアとは?、また各通貨ペアによる特徴について解説していきます。
FXの通貨ペアとは?
まず通貨ペアとは?ですが、2種類の通貨の組み合わせのことを言います。
例えば、アメリカドルと日本円の通貨ペアであれば、『ドル/円』(どるえん)と呼びます。または、『USD/JPY』(ゆーえすでぃー、じぇいぴーわい)と表現します。
そして、左側のほうを基軸通貨、右側のほうを決済通貨と分類します。
『USD/JPY』であれば、USDが基軸通貨で、JPYが決済通貨です。
「『USD/JPY』を買う」という意味は、「日本円を売って米ドルを買う」という意味になります。
例えば他には、円関係であれば
ドル円以外に
・ユーロ円
・ポンド円
・オージー円
などがあります。
いつも表記は円が右側ですね。円は基軸通貨ではないことが分かります。
他には、英ポンド/米ドル、オージードル/米ドル、ニュージーランドドル/米ドルを見るとちょっと面白いのですが、普通なら強大なアメリカの米ドルが基軸でありそうなものですが、上記の3つのペアでは、すべて米ドルが右にきていますよね。
これは、もともと、オーストラリアとニュージーランドがイギリス大英帝国の植民地だったころの力関係が影響していて、そのまま残っているんですね。
当時はアメリカよりもイギリスの立場が強かったことがよくわかります。
さて、例えば「50通貨ペア」とは組み合わせの数のことであり、50種の通貨のことではありません。
「米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、ユーロ/英ポンド」のように、4カ国でも6通貨ペアが生まれます。
複数の通貨に投資をしてリスクの分散をしよう
FXでは、あまり人気のないマイナーな通貨にも投資ができます。
まあこれは、高金利のスワップポイント狙いの中長期での投資となるんですけれども、例えば、南アフリカランドとかトルコリラが良い例です。
あるいは比較的先進国の中の、オーストラリアドルですとか、ニュージランドドルなども、わりと高金利通貨で人気があります。
ただ、やはり先進国は安定性があるので、金利も段々落ちてきます。
そうなると、やはり高金利通貨のスワップを狙うのであれば、南アフリカランドとかトルコリラが対象になる事が多いです。
FXで基本的なトレードスタイルとしては、先進国の比較的安定したメジャー通貨を使って、価格変動による為替差益を狙うスタイルと、先ほどのような新興国の高金利通貨のスワップを狙うというスタイルに分けられます。
そういった、性格の異なる通貨に分散投資していくことで、ある程度リスクを抑えることも可能となります。
例えば、基軸通貨ペアどうしの組み合わせということで、ユーロ/米ドルで為替変動を狙った短期トレードで差益を積み重ね、それと並行して、南アフリカランドなどのマイナー通貨でスワップポイントを狙うというような異なる組み合わせの運用をする方法もあります。
FXでおすすめの通貨ペアはユーロ/ドルから始めてみよう
これは絶対ということではないんですけど、それぞれ好みがありますが、FXを始める時はユーロ/ドルからやってみることをおすすめします。
でも一般的に日本でよく言われるのは、「米ドル/円で始めることが鉄則」という声もよく聞くと思います。
その理由は、日本人なんだから円が身近にあって、変動要因も頻繁にニュースになるからなんですね。
でも、為替市場の取引量では、米ドル/円ではなく、ユーロ/米ドルが最大であり、世界経済とリンクして世界中の経済指標に反応する通貨ペアなので、動きが活発なんですね。
動くということは、それだけトレードチャンスが多くなるんです。
もちろん、マイナー通貨のように、軽くスコスコと動いて読みづらい動きをするのではなく、ズンズンとしっかり動いていきます。
他の通貨ペアと比べると、読みやすいということです。
ですので、ユーロ/ドル(EUR/USD)の通貨ペアでFXトレードを始めてみることをおすすめします。
もちろんドル/円が悪いわけじゃないんですけど、円というのは、他の基軸通貨に慌ててついていくような急な動きになるという特性が少しあるんです。
USD(米ドル)は世界一の取引量
米ドルは、世界の基軸通貨になります。信用力が高い通貨になります。
ですので、アメリカの経済指標というのは最も注目される情報になりまして、他の国の通貨と比べても、米ドルについての情報量はかなり多くて、また早く伝わってきます。
特に毎月の第1金曜日に発表されるアメリカの雇用統計は、アメリカだけじゃなくて、世界の為替レートの変動を誘発するくらい影響力が大きいんですね。
経済指標関係では、アメリカの失業率とかGDP(国内総生産)はもちろんですね。
アメリカのGDPの約70%は個人消費ということで、影響力がとても大きいんですけども、そうなると「アメリカの雇用統計が改善することで世界中から商品購入が連想できる」と市場参加者が解釈するんですね。
ユーロはドイツの影響を受けやすい
ユーロはEUの共通の通貨であることは、あなたもご存じだと思いますが、ユーロを使っている国はドイツ、フランス、イタリアなど17カ国というたくさんの国が使っています。
でも、ユーロを使っている国々では経済格差が激しくて、GDPが一番大きいドイツがリーダー格となっているので、ドイツの指標を追えば事足りるケースが多いんですね。
それと、ECB(欧州中央銀行)はドイツのフランクフルトにありますし、ユーロを牽引しているシンクタンク「IFO経済研究所」によるドイツ企業の景気をリサーチした「IFO景況感指数」のチェックをしておくと、ユーロの動きに参考になるのでおすすめです。
GBP(英ポンド)は一日の変動幅が大きい
ロンドンと言うと、先進国の中でも銀行や保険といったシティなどの金融サービス業が強いんですけれども、北海油田のブレンドオイルを持っているんでオイルマネーの流入もかなりあって、原油価格に影響される面があるんです。
もともと大英帝国時代に産業革命の発祥地として工業が発達しましたが、そのあとに世界中にある巨大な貿易圏に売りさばくといった歴史があるので、金融商社系のビジネスが強いんですね。
さて、英ポンドはとにかく値動きが激しいです。
ですので、それを狙ってスキャルピングなどの超短期取引で為替差益を狙っている人が多くて、イギリスポンドの通貨の取り引きはプロや上級者に好まれる傾向があります。
逆に言うと、値動きが激しいので初心者はついていきずらいですから、FXに慣れるまではポンドのペアは避けましょう。
AUD(豪ドル)は商品市況の影響が大きい
AUD(豪ドル)は商品市況の影響が大きいんですが、それはオーストラリアが資源輸出国だからです。
(「商品市況」というのは、鉱物資源なんかの取引市場の動きのことです)
豪ドルは国内情勢以外にも、中国の要因で変動することが多いです。
オーストラリアは資源関係の輸出比率が高いんですが、中国がとても大きな消費量を持っているために、中国の経済指標発表によって豪ドルが動き始めることもあるんですね。
中国の経済指標が悪いとAUD(豪ドル)も売られる・・・ということです。
オーストラリアも中国も、東京時間に経済指標や政策金利発表がありますので、発表日と時間は把握しておく必要があります。
それでもオーストラリアは先進国であり、政治経済も安定している国です。
他の先進国が低金利政策をとっているので、相対的にオーストラリアの金利が高く感じられ、その差がスワップとして魅力になります。
先進国としての安定感があって、さらにスワップポイントも狙えるということで、AUD(豪ドル)は中長期狙いの投資家に人気があります。
安心できるFX会社を選ぶポイント
安心できるFX会社を選ぶには、当然ながらお客様(投資家)が安心してお金を預けられる条件としまして、まず日本国内のFX会社であれば安心度は高いです。
日本国内のFX業者というのは、100%必ず『金融先物取引業者』として金融庁に登録されていますので、それイコール、信託保全(このあと説明)を導入しているからです。
もちろん信託保全導入の確認は必要です。
マイナーなところでは、違法にFX業者をうたって営業しているとも限りません。
それと当然、資本金の少ないところは危ないですので、資本金が大きい会社であること。
そしてまた、そのFX会社に出資している会社の資本金・信頼度も判断基準にしないといけません。
FX会社の「信託保全(信託分別管理)とは?」の解説
さて、先ほど「FX会社には必須」とお話しした信託保全とは何か?という解説です。
信託保全(信託分別管理)というのは、あなたがFX会社に入金したお金の安全性を保証するためのシステムになります。
本来は、FX会社のお金というのは、FX会社自体の所有しているお金と、あなたも含めた投資家のみんなが預けたお金をしっかり分けて管理しないといけません。
でも昔は、FXが解禁になった1998年直後にFX会社が乱立して、当時はお金の管理に関する法整備があまかったものですので、質の悪いFX会社は資金管理をきちんとしていませんでした。
その当時は、投資家が預けた資金を会社の資金として使っちゃったり、社員の給与として払ったりと、いわゆる流用していたわけですね。
そういったFX業者に預けてしまった投資家から、「お金を引き出そうとしたら返ってこない」などというトラブルが起こったわけです。
当時は、質の悪いFX業者も300社以上あったと言いますから、資本金が戻ってこないという事件が頻発したわけですね。
それで、金融庁・行政が「このままではダメだ」ということで、顧客からの預かり金を流用できないように、「信託分別管理」ということでFX会社のお金と顧客のお金を分けて管理せよという「信託保全」の法律ができたのです。
それによって、悪質な業者は無くなっていき、現在では日本国内のFX取り扱い業者は100社くらいになっています。
そして、ほぼ100%信託保全を行っています。
ちなみに、顧客の資産を分別して管理する場合は、信託銀行で管理をします。また、信託管理人という外部の公認会計士によって信託状況が監視されているんですね。
そこで、万が一そのFX会社が破綻したとしても、投資家が預けた資金は信託銀行から返してもらえるという、安全が確保された仕組みになっています。
もちろん、投資家が預けた資金は、普段FX会社に流用されるようなこともありません。
分別管理する先の信託銀行は、『野村信託銀行、三井住友銀行、みずほ信託銀行、住友信託銀行、新銀行東京、三菱UFJ信託銀行、SG信託銀行』といった銀行になります。
これは各FX会社ごとに提携先が違っていますが、どれも信頼性の高い金融機関ですので、それらは間違いのないところです。
ということで、日本のFX業者であれば基本的には心配する必要はないのですが、資本金があまりにも小さかったり、あるいは資本金はあるのに自己資本比率が低かったりすると心配です。
自己資本比率の下限は140%以上です。
これらは法律で必ず掲載しないといけないのですが、ホームページで、それらを確認していただきたいです。
もちろん、FX会社の知名度や口コミも確認したほうが良いでしょう。
あとは、サービス面のお得性ですね。
いままで解説してきた、スプレッド手数料が狭いとか、スワップ金利が大きい、ということがポイントになります。
さて、ここまで「FXの基礎知識」ということで、長くお話ししてまいりました。
予備知識というものもありましたが、これを知っていないと「FXできない」というような重要な知識もたくさんあります。
絶対に忘れないように、もう一度おさらいされてしっかり身に付けてくださいね!